小生、今、1日の1/3くらいはデジタルからアナログの世界に身を置いています。

毎日のように生成AIやデジタル技術と向き合っていると、便利さの一方で、自分の心の奥にある静かな声が聞こえにくくなることがあるんですよね。

だからこそ最近は、本を読んだり、ウォーキングをしたり、以前に書いたエッセイをもう一度見つめないしたりしながら、ゆっくりと時間の流れを味わっています。

そんな折、大学の同窓生から連絡が入りました。
機械系一期生二クラスの八十名がLINEでつながり、近い将来、大同窓会をやろうという話になっています。北は北海道釧路高専から、南は鹿児島高専まで、全国の高専出身の仲間たちが集まると思うと、それだけで胸が熱くなります。若き日に機械図面や実験に向き合った仲間が、今ではそれぞれの人生を背負い、再び一つの場に集まる。これはまさに人生のご褒美のような出来事です。

そうした時間の中で、小生は今まで読んだ書籍の中でも、もっとも大きな影響を受けた一冊、故・稲盛和夫氏の『心』を読み返しています。


小生がもっとも尊敬する人物の一人が、稲盛和夫氏です。稲盛氏は京セラを創業し、第二電電、現在のKDDIを立ち上げ、さらに経営破綻した日本航空を再建へ導いた、日本を代表する実業家です。しかも、その根底にあったのは、単なる経営技術ではありません。人として何が正しいか。利他の心を持てるか。心を高め、魂を磨くことができるか。そこに稲盛哲学の真髄があると小生は感じています。

また稲盛氏は、経営者を学ばせる盛和塾を通じて多くの後進を育て、稲盛財団や京都賞によって、科学、文明、精神性の発展にも大きく貢献しました。企業を大きくするだけでなく、人間を大きくすることに人生を捧げた方なのだと思います。

『心』の中で、小生の胸にぐさりと刺さった言葉が「真我」という言葉です。
真我とは、欲や見栄や損得勘定に覆われる前の、自分の奥底にある本当の自分のことだと小生は受け止めています。人間の心には、自分だけよければよいと思う小さな我があります。しかし、そのさらに奥には、人を喜ばせたい、世のため人のために尽くしたい、正しく生きたいと願う澄んだ心がある。それが真我ではないでしょうか。

一方で、「心」とは日々揺れ動くものです。うれしい時もあれば、腹が立つ時もある。褒められれば浮かれ、批判されれば落ち込む。だからこそ、心を整える努力が必要なのだと思います。心を整え、磨き続けることで、奥にある真我が少しずつ姿を現す。稲盛氏が伝えたかったのは、成功の方法論ではなく、人生をどう美しく生きるかという根本だったのではないかと小生は思っています。
もちろん、思うだけではなく、禅という修行もいます。

デジタルの時代、AIの時代になればなるほど、人間の価値は「心」に戻っていく気がします。
どれほど技術が進んでも、最後に人を動かすのは誠実さであり、温かさであり、利他の心です。小生もまた、アナログの時間の中で、自分の真我に耳を澄ませたい。昔の仲間との再会を楽しみにしながら、歩き、本を読み、過去のエッセイを見つめ直す。その一つひとつが、小生にとって心を磨く修行なのかもしれません。

稲盛和夫氏の『心』は、そのことを静かに、しかし厳しく教えてくれる一冊です。

今日も心を澄ませ、真我に近づく一歩を踏み出したいと思います。

 

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