4月14日の午後、岩殿山を挟んで向こう側の地区へと足を運びました。

目的は、ある溶接業を営む親子殿が切り盛りする工場(こうば)を訪問するためです。

事の発端は、小生が講師を務めた「痒いところに手が届くAI講座(全4回)」にあります。この講座に大変熱心に参加してくださっていた息子さんから、「ぜひうちの親父にもAIの話を聞かせてやってほしい」と嬉しいお声がけをいただいたのです。お父様も昨今の生成AIに強い関心をお持ちとのことでした。

そこで今回は、通常のエッセンスを2時間にギュッと凝縮した「特別弾丸講座」を出張開催することになりました。

講座を始める前に、まずは彼らの城である工場の中を案内していただきました。足を踏み入れた瞬間、ツンと鼻を突く鉄と油の匂い、そして溶接の火花が小生の五感を強く刺激しました。そこには、職人の長年の勘と熟練の腕がモノを言う「昔ながらの手作業」の領域と、最新鋭の機械が正確無比に動く「ロボット作業」の領域が、融合していました。

より良いものを作るために日々繰り返されている創意工夫の痕跡があちこちに見受けられ、小生はただただ感心するばかりでした。

実はこの時、小生の胸の奥には、ある強いノスタルジーが込み上げておりました。小生の実家は、東京は葛飾の下町にありました。そこで小生が生まれた時から、父は小さな町工場を営んでおりました。ガシャンガシャンという機械の駆動音を子守唄代わりに、油の匂いの中で育てられたようなものです。目の前の溶接職人である親子殿の姿が、かつての父の油まみれの作業着姿と重なり、なんとも言えない感慨深い思いに包まれました。

さて、溶接職人のお父様ですが、第一印象は「絵に描いたような職人気質の頑固おやじ」といった風情でした。しかし、言葉を交わしていくうちに、その認識が完全に間違っていたことに気がつきます。お父様は、時代を見据え、常に新しいものを取り入れようとする稀代の「アイデアマン」だったのです。技術の進歩を恐れるのではなく、それをどう自らの商売や技術の継承に活かすか。その柔軟かつ合理的な思考回路には、AIを教えに来たはずの小生の方が、かえって多くのことを勉強させていただきました。

そして始まった2時間の生成AI弾丸講座。親子殿共々、小生の一言一句を逃すまいと、身を乗り出すようにして熱心に耳を傾けてくださいました。生成AIがもたらす未来、そしてそれが製造業や溶接の現場にどのようなブレイクスルーを起こし得るのか。

お二人の瞳は少年のようにキラキラと輝き、その真剣な眼差しを前にして、小生もまた「ああ、講師冥利に尽きる」という熱い喜びを噛み締めておりました。

講座が終わった後も興奮は冷めやらず、お茶をいただきながら技術論、ひいては互いの「人生論」にまで大きく花が咲きました。

モノづくりの魂と、最先端のAI技術。一見すると対極にあるように思える両者ですが、それを扱う「人」の情熱の根源は同じです。

すっかり意気投合して、気がつけば「五月の連休には、ぜひ一杯やりましょう」と、嬉しい約束まで交わしておりました。

最新の生成AIを通じて、泥臭くも尊い技術論を語り合い、そして何より素晴らしい「人とのご縁」をいただきました。

岩殿山の麓で出会った親子殿の顔を思い浮かべながら、五月の連休の美味い酒が、今から待ち遠しくてならない小生です。

 

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