「わたしは駅が好き。ドラマがありますもん。」
この言葉、小生の琴線に触れました。

今回はおらの街の駅 中央本線大月駅です。

実は今から7年8ヵ月前のことです。

関東甲信地方では、2月14日夜明け前から降り出した雪は次第に
降り方が強まり、14日夜遅くから15日未明頃をピークにして
降り積もりました。

14日から15日にかけての最深積雪は、
甲府114cm  河口湖143cm  大月120cm

その後も降り続けました。

中央自動車道、国道20号線、中央本線、富士急は完全にストップ。
大月は完全に陸の孤島となりました。

下の写真は小生の家の廻りです。
我が家も完全に陸の孤島化状態です。
大月駅に歩いていくこともできません。

ちょうどプリウスαが新車納車されて、1週間しかたっていなくて、
ガレージの屋根が崩れるのが心配で心配で・・・・

毎日毎日、自分の家と町内会の雪かきでもう疲れ切っていました。
当然、会社には行くことができず、本気モードで人事部から救援申し入れがありました。

17日、いよいよ食料が無くなってきて、歩いて駅方面に
買い出しに行きました。

そこで見たものは・・・・・!!!

大月駅構内には.普通列車が2列車止まっていたんです。
そして、電気機関車EF64まで。

なんと、なんと14日の夜から電車は止まっていて、乗客の皆さんは
ここで寝泊まりをしているそうです。
もう3泊しているんですよ。

小生、びっくりして駅舎のほうへ行ってみると、
若い男子のグループと若い女子のグループが一緒に
楽しそうに濱野屋(駅前の郷土料理屋)の方に走っていきました。

印象的だったのは、みんな疲れている様子はないんだけど、
何日も髪の毛を洗ってないので、テカテカしていて、ペッちゃんこ
だったことです。
それでも、超元気でしてね。

さて、ここから、当時の月刊誌プレジデントの記事のまとめます。

これぞ、ドラマ中のドラマです。

少し長いですけど、是非お読みください。

『2014年2月14日から山梨県は記録的な大雪に見舞われた。
 まさか5日間も帰れないとは――。
 大月駅の松永駅長は5日間、乗客と部下のため駅に立ち続けた。

 勤続38年目。未経験の大雪にも、たじろがない。
 「鉄道人」の仕事ぶりが、周囲の心を打った。
 
 乗客が車窓に掲げた感謝の手紙。
 千切られた大学ノートにマジックで書かれた大きな文字が躍る。
 <除雪 ありがとうございます!!>
 
 「私たちの宝物です」とJR中央本線大月駅の駅長・松永弘司は
  その紙を手に取って続けた。
 「駅員が雪かきをしている最中に列車のなかの女性が、我々に
 見えるよう窓に掲げてくれていました。みな感激していました。
 お客さまのご理解、そして行政や地元の方々の協力があったからこそ、
 我々は、あの120時間を乗り越えることができたんです」。

 大月市の積雪は120センチを超え、甲府市や富士河口湖町では
 観測史上最大の積雪を記録。
 高尾駅~小淵沢駅間は運転見合わせ。
 動けない列車のなかで最長4泊した乗客もいた。

 雪は相変わらず降り続ける。

 大月駅で立ち往生している中央本線の車両。
 ホームの高さまで雪が積もっているのがわかる。

 23時5分、指令室から信号所に全線不通を告げる一報が入った。
 相模湖駅での架線切断が原因で高尾駅~小淵沢駅間で全線運行を
 見合わせるという。

 4番線には、約50人が乗る甲府行きの列車が止まったまま。
 本来なら乗客を目的地へ送るため代替の輸送手段を探るのだが、
 すでに東京と山梨を結ぶ国道20号線は上下線ともに通行止めだった。

 駅員たちは横になる暇もなく翌15日の朝を迎えた。
 隣接する富士急行線大月駅では約100人が列車内で一夜を明かした。
 だが架線切断が発生し、車内の暖房が効かなくなってしまった。
 9時。富士急の乗客はJR大月駅に移った。

 さらに隣の無人駅の初狩駅では168人が列車内に取り残されていた。
 松永たちは乗客の救出を考えた。
 運転士と車掌だけの初狩駅では乗客の十分なサポートはできない。
 大月駅まで、どうやって連れてくるか……。
 切り札があった。前日の夕方、「EF」という電気機関車を甲府駅
 から運んでいた。
 パワーのあるEFなら雪をかき分けられるのではないか。
 東京の指令室に異例の許可をとり、乗客の救出のため、初狩駅に
 向けてEFを動かした。
 だが、5メートルほどで止まってしまう。
 このままでは進めない。
 車輪に雪が入り込まないよう、手作業で除雪する必要があった。

 「これが原点なんだと実感した」と松永はいう。
 「人間の力がなければ、パワーがある機関車も動かない。
 だからこそ、みんなで力を合わせなければ、と」。

 駅員たちの力により、EFは初狩に到着。
 足止めされていた列車を大月駅に進めることに成功した。
 自力で帰宅したり、行政が開放した公民館などに避難した乗客もいた。
 それでも15日夕方、大月駅に身を寄せる乗客は約300人に上った。

 近隣で開店するコンビニやスーパーはあったが、すでに商品は少なくなっていた。
 また物流が滞り、新たな商品が届く目途は立っていない。

 時計の針を15日の朝6時に戻す。
 松永は一本の電話をかけていた。
 大月駅前でビジネスホテルや居酒屋を営む「濱野屋」。
 社長の天野太文は大月市観光協会の会長を務める。
 松永とは顔見知りだ。乗客の食事をなんとかお願いできないか、
 という松永の申し出を天野は快諾した。

 「大月で困っている人がいるならできる限りのことはやってあげたいと思った。
 車内で過ごす方にとって食事は数少ない楽しみでしょうから」と天野は語る。

 はじめての食事は300人分のおにぎりと「寒い思いをしている人に温かい物を」
 と濱野屋の板長が作った豚汁。
 豚汁は生ビール用の使い捨て容器で配られた。
 それからストックされていた食材で1日2食の弁当を作り続けた。
 鮭弁当、カレー弁当、唐揚げ弁当、豚すき弁当……。

 「メニューを毎回変えていただき、お客さまのストレスを少しでも和らげることが
 できたのではないかと思います」
 と助役の小池は濱野屋への感謝を口にする。

 松永には忘れられない乗客の反応がある。
 16日朝、松永は「今日のお昼は温かいカレーです。楽しみにしていてください。」
 と乗客に声をかけながら各車両を回った。
 すると乗客から拍手が起きた。

 「車内放送を使わずにできるだけ肉声で情報を伝えました。
 不安を抱えるお客さまの質問にもひとつひとつ応えていきたいと
 考えていたんです」(松永)

 しかし新たな問題が次々に発生する。

 15日の夜から16日の早朝にかけては断水が起きた。
 それでもトイレが使えるように、急遽、段ボール箱で「汚物入れ」をつくり、
 対応した。

 体調を崩す乗客がいると、近くの病院まで駅員が付き添った。
 インフルエンザの疑いがある乗客も出た。
 すぐに車両をひとつ空けて患者を隔離し、駅に常備していたマスクを
 乗客全員に配った。

 体調を崩したのは乗客だけではなかった。
 駅員たちは寝る間もなく働き続けた。
 1日2~3時間の仮眠が取れればよかった。
 床に敷いた段ボールとアノラックが布団代わりだった。
 そんな環境で5人が体調不良を訴えた。
 松永は彼らをすぐに仮眠室で休ませた。

 17日になると高尾駅~四方津駅間の運行が再開。
 大月駅~四方津駅までは4駅、約12キロ離れている。
 雪道に足を取られながら四方津駅を目指す乗客もいた。
 
 同日22時24分、143人を乗せた列車が大月駅から高尾に向けて出発。
 さらに翌18日10時33分、25人が乗る甲府行きが大月駅をあとにした。

 列車を見送るためにホームに立つ入社2年目の寺田開智に、
 車内の乗客たちは別れを惜しむかのように手を振っていた。

 「5日間の疲れを忘れた瞬間でした」と寺田はいう。
 「眠れずに早く目が覚めてしまったお客さまと話をしたり、
 除雪の状況を説明したり・・・。
 当初は『いつ動くんだ!』とお叱りを受けましたが、最後は『ありがとう』
 といっていただけた。
 自分も中央線を守る鉄道マンの一員なんだという意識を持ちました」。

 寺田の隣で、駅長の松永もまた遠ざかる列車を見詰めていた。
 「最高の仕事だな」。
 寺田には松永が呟いた一言が印象に残っている。松永は語る。

 松永がはじめて帰宅したのは19日の昼。
 だが一休みしただけで23時には駅に戻った。
 夜、冷え込むとポイント不転換が再び発生しないとも限らないからだ。
 妻は、職場に戻る夫を「駅には駅長さんがいないとね」と見送ったという。

 乗客を、駅を守る――。鉄道マンとしての矜持が、大月駅の120時間を、
 そして日々の仕事を支えていた。』

後日、小生が濱野屋社長から聴いた話ですと、
「若い男子のグループと若い女子のグループにお店でうどんを振舞っていた時、
 みんなとても楽しそうだった。何組かのカップルもできていた。」
とのことでした。

もしかしたら、今頃結婚して子供を連れて大月駅に遊びに来ているかも
しれませんね。

「わたしは駅が好き。ドラマがありますもん。」

  

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