人間だもの、たまには失敗もするさ。

今回は技術者ならではの失敗、いや成功(?)のお話です。

小生、入社以来、大型トラックのステアリング系装置の設計をしていました。

もう少し具体的に言うと、ハンドル、回転を伝えるシャフト、パワーステアリング装置、
パワーステアリング装置の力をタイヤに伝えるリンク系などです。

大型トラックは、長距離便などに使用されていて、九州から東京までノンストップで
ぶっ飛ばしてくる場合もあります。

大型トラックのドライバーは、皆プロ意識が強く、超長時間運転をするので、
大型トラックの性能(馬力、乗り心地、音、ブレーキの効き、ハンドルの手感など)
に対し、相当厳しい要求をしてきます。

その中でも、ドライバーは運転している間必ずハンドルを握っているので、
ハンドルの手感については相当センシティブです。

荷物を含めた車両総重量24トンを軽々ハンドル操作できるパワーと
超長時間高速走行するための繊細なハンドル感(スポーツカー並み)
を両立させることは、たいへんな技術力を要する反面、技術者魂を
揺さぶるものがあります。

その技術の中で重要な装置として、パワーステアリング装置があります。

ハンドルの回転をタイヤに繋がるリンクの力に変える油圧ギヤボックスと
思ってください。

これは超精密油圧機械でミクロン単位の部品精度を要します。

装置の中は超高圧で超高速の油が流れています。

小生が課長の時、大型トラックのフルモデルチェンジがあり、
日本一いや世界一のステアリング系装置にしようと全ての部品を
変更しました。

開発時、最後の最後まで技術的に解決できずに残ってしまった
問題がありました。

ハンドルを切った瞬間にパワーステアリング装置から発せられる大きな音です。

実験棟(体育館の数倍の建物)の中を響き渡るのです。
あまりにも大きな音なので、全社的に有名になってしまいました。

来る日も来る日も改善案を考えているのですが、どうしてもわかりません。
夢にまで、出てくるようになりました。
もう完全に追い詰められました。後がありません。

そんなある日曜日、お風呂の湯船に入りながら解決策を考えていました。
待てよ、あの音は油が狭い油路(バルブ)を通って、急激に広い所に
解放された時に出る音に違いない。
油路(バルブ)の形状を変更すればよいはずだ。

よし、再現してみよう。

小生、やおらに湯船の湯面に半腰でお尻を突き出し、水戸様の菊紋章が
ちょうど湯面の半分出る位置にセットしました。

そして、息を思いっきり腹に吸い込み、腹筋を使って思いっきり放出(屁)。

ビ~ィ~~!!! 実験棟と同じ音がお風呂場に大きく響き渡ったのです。

これだ~!

と叫ぶと、家内が泣き顔でお風呂にすっ飛んできたのです。

あまりにも、凄い大きな音だったもので、小生が奇声を発して倒れてしまったと
思ったそうです。

その時の小生の顔は、難問を解いた技術者の顔だったに違いありません。

その後、パワーステアリング装置から発せられる大きな音は、解決しました。

そして、しばらくの間、部下たちの家のお風呂からは、あのビ~ィ~~!!!
という音がそこらじゅうで鳴っていたということです。

技術者魂ここにあり(大笑)。

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