1.はじめに
「人間だもの、たまには失敗もするさ。」
今だから言えますが、当時だったら顔が真っ青になる話です。
小生の父親は茨城県の田舎出身で、若い頃東京向島のプレス金型
製作工場で職人をしていました。
相当な努力をしてお金を貯めて、独立して、葛飾立石に木造平屋の
小さな工場(こうば)を持ちました。
実は、その工場の前に大きなどぶ(川幅4m位)がありましてね。(写真は参考イメージ、別の場所)
「水が流れている」なんて、可愛いもんでなく、水はほとんど真っ黒、メタンガスでいつも泡が出ていて淀んでいます。
今考えると、何のためにどぶがあったかわからないですよ。
台風が来ると、水が溢れて洪水になる。
当時、便所が汲み取りだったので、「くそ」「みそ」「どぶ」が入り乱れて
もうたいへんなことになっていました(笑)。
2.失敗談
さて、本題に入りますが、これからお話することは、小生が生まれて初めての
大きな失敗談だと思います。
そして、いろいろな人に、命に関わるような「五つの恩」をいただきました。
それは、小生が七五三のお宮参りの朝の出来事です。
小生11月初旬生まれのため、三歳になったばかりのバリバリの幼児です。
ところどころのシーンを鮮明に覚えているのです。
家から50m位離れたところに、車が頻繁に通る道があって、
橋が高くなっているんです。
その橋の端から直角にどぶ沿いに狭い道があって、結構きつい坂に
なっていましてね。
小生、一人三輪車に乗って意気揚々とこの坂にやってきました。
そして、三輪車で坂を下るスピード感を楽しんでしたのです。
その内、飽きてきて、もっとスリルのあることは・・・・。
そうだ!逆向きで坂を下ろう!
下る前の一瞬、坂の頂上は結構緊張するんですね。
そして、それ!
・・・・・
ドボ~ン!!!
三輪車のハンドルを逆に切ってしまい、三輪車に乗ったまま、どぶの中に。
3.五つの恩
第一の「恩」
今でも鮮明に覚えているのは、どぶの中。
目の前をメタンガスの泡が下から上に上がっていくんですよ。
子供ながら、水を飲んだらいけないと思っていました。
気が付くと、目の前に物干し竿が上から現れたんです。
たぶん、小生はそれにしがみついたのだと思います。
ここから、しばらく記憶がありません。
後から聞いた話では、ちょうど通ったお兄さんが
必死になって助けてくれたと。
小生の無事を確認したら、静かにその場を立ち去ったそうです。
もし、そのお兄さんがいなかったら・・・・・
命の恩人です。
第二の「恩」
小生がどぶに落ちたと近所は大騒ぎに。
近所のおばさんが「公ちゃんが、公ちゃんが、」と声にならず、
両親を呼びに行ってくれたそうです。
両親は裸足で駆けつけてきて、父はどぶの水で真っ黒になった小生を
抱きかかえて意識がある事を確認しました。
小生が無事であるとわかると、母はその場で腰を抜かしました。
実は、その腰を抜かしたシーンしか覚えていないんです。
親の恩は、ほんとありがたいです。
第三の「恩」
さて、家に連れてこられると、家の前は近所の人たちでお祭り騒ぎです。
下町は、良いことがあっても、悪いことがあっても、お祭り騒ぎなんです。
たらいが用意され、近所中から、魔法瓶が持ち寄られて、たらいに
お湯が溜められていきます。
その後、小生は素っ裸にされ、公衆の面前で、行水ショーが始まりました。
しかし、どうやって、あの汚い油ぎったどぶの水を洗ったのでしょうかね。
実は、小生、魔法瓶の蛇口のあひるのくちばしみたいな形しか
覚えていないんです。
下町の近所のおじさんおばさんの恩、ありがとうございました。
第四の「恩」
その後、何事もなかったように、お宮参りが行われました。
たぶん、立石の普段は入ったことのないような食堂で美味しいを
食べさせてもらったのだと思います。
アルバムには、千歳飴を持ったよそいきの顔をした小生の写真があります。
とても、その朝、どぶに浸かっていた人とは思えません。
一生に一回しかない、七五三の儀式をしていただいた両親の恩に感謝です。
第五の「恩」
その夜、どうも小生、急激に具合が悪くなったみたいなんです。
実は、大量にどぶの水を飲んでいたのです。
気が付いたら、近所の行きつけの小児科の2階の入院部屋で
寝かされていました。
後から聞いた話では、赤痢の疑いがあって、保健所に連絡しなければ
いけなかったのですが、小児科の先生が内緒で直してくれたそうです。
どのくらい入院していたか覚えていませんが、ベッドの横に酸素ボンベと
マスクが置いてあってのは、よく覚えています。
もしかした、重症だったのかもしれません。
小児科の先生は、命の恩人です。
4.まとめ
以上、三歳の小生は、大きな失敗をし、多くの皆さんによって、
助けていただきました。
自分が大きな失敗をすることによって、周りの人たちに多くの迷惑を掛け、
多くの助けをいただくことになります。
三歳の小生は、果たしてそのことがわかっていたのか・・・・
半世紀以上もたった今の自分は?
残念ながら、同じような事をしています(大汗)。
今では、その当時のどぶはすっかり埋められて、コミュニティーロードと
名前が付けられ、道路の両側には桜の木が植えられて、
毎春、綺麗なピンク色の花が満開になります。
小生は、その桜の花に向って、五つの恩、ありがとうございました
と手を合わせるのでした。
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どぶに落ちたのは、最悪の結果だったかもしれませんが、「五つの恩」はいい話ですね~。昔は隣近所のおじちゃん、おばちゃんが口は悪いけど人情味があって良かったですよね。
小生もどぶには落ちませんでしたが、いろんな面でお世話になったし助けてもらいました。本当に懐かしい思い出です。ありがとうございました。
SM様
コメントありがとうございます。
どぶには落ちなかったけど、花見の時、桜の木から落ちなかったっ毛?
桜の木から落ちたのは、ボロット君ですよ。
それから、折ちゃんは3歳の時から、ウ●コの紙様にとりつかれていたんですね~! ウンを自由に操る・・まさに ウンの申し子。。