皆様、慶応MCC大月駐在所の折乃笠です。先日、同じく慶応MCCの「禅の智慧講座」でご一緒させていただいた黒瀬愛さんの個展「√-1の軌跡」にお邪魔させていただきました。その素晴らしい体験と感動を、皆様にもお伝えしたく筆を執りました。
会場は、JR青梅線福生駅の駅ビル内にある「福生市プチギャラリー」。 駅の改札を出てすぐという、アクセスしやすい場所にありながら、一歩足を踏み入れると、そこは黒瀬さんの作り出す独自の世界観に満ちた空間が広がっていました。
まず、目に飛び込んできたのは、力強く、そして生命力に溢れた色彩の数々でした。黒瀬さんの作品は、以前からFacebookなどで制作過程を拝見しており、その成長ぶりを楽しみにしていましたが、実物を前にすると、その迫力は想像を遥かに超えるものでした。一つ一つの作品が、まるで生きているかのようにエネルギーを放ち、見る者の心に強く訴えかけてきます。特に、私が心を打たれたのは、その絶妙な色合いのバランスです。大胆でありながら、決して調和を乱すことのない色彩のコンビネーションは、黒瀬さんの類稀なるセンスを感じさせました。

個展のタイトルである「√-1の軌跡」。数学で「虚数」を意味するこの言葉は、英語では「imaginary number」と呼ばれ、その頭文字 “i” は、黒瀬さんの名前である “愛” にも通じます。 エンジニアとして、長年コンピュータの世界に携わってこられた黒瀬さんだからこそ描ける、実存と非実存、現実と仮想が交差する世界。その深遠なテーマが、作品に哲学的な奥行きを与えていました。

黒瀬さんからお話を伺うと、今回の個展は、現代美術家のOJUN先生に「黒瀬愛の個展が見たい」とリクエストされたことがきっかけだったそうです。その一言に背中を押され、開催を決意されたとのこと。素晴らしい才能を持つ作家との出会いが、また新たな才能を開花させる。人のご縁の不思議さと尊さを感じずにはいられませんでした。

また、作品の題名には、私たちの学んだ禅の教えが反映されているものも多くありました。恵林寺の「雑華世界」や、道元禅師の「華開いて世界起こる」など、禅の言葉が作品に新たな命を吹き込んでいます。特に興味深かったのは、古川老大師が銀杏の皮を剥いている姿を描いた「無心の人」という作品のお話です。残念ながら、今回は拝見することが叶いませんでしたが、そのエピソードからも、黒瀬さんの温かい人柄と、物事の本質を見つめる真摯な眼差しが伝わってきました。
今回の個展では、フランスの「サロン・ドトーヌ」協賛の現代美術世界展や、パリの国際サロンへの推薦出品など、海外でも高く評価されている黒瀬さんの実力を改めて実感しました。 3日間で115名もの方が来場されたというのも、その注目度の高さを物語っています。
黒瀬さんの作品は、私たちに「行動すること」の重要性を教えてくれているようにも感じました。ご本人が仰っていたように、美術館に行かなければOJUN先生に出会うこともなく、禅の講座に参加しなければ、今のような作品やご縁もなかったのかもしれません。常に前に進み続ける黒瀬さんの姿に、私自身も大きな刺激と勇気をいただきました。

黒瀬さんの今後の更なるご活躍を、遠く大月の地より心から応援しております。素晴らしい感動を、本当にありがとうございました。
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