先週は長崎、今週は広島について語ってまいりました。

その中で原爆投下の話は語っても語っても語り尽くせない、
やるせなさがあります。

今後も機会があったら、また考えながら語りたいと思いますが、
今回で一旦シリーズとして終わりにしたいと思います。

◆ハイドパーク覚書
『1944年9月18日、ハイドパークでの大統領と首相の会話に関する覚書
 1.管用合金の管理と使用については、国際協定を考慮に置き、管用合金を
   世界に公表すべきであるとの意見があるが、この意見は受け入れられない。
   本件は、極秘にし続けるべきものである。
   しかし「爆弾」が最終的に使用可能になった時には、熟慮の後にだが、
   多分日本人に対して使用していいだろう。
   なお日本人には、この爆撃は降伏するまで繰返し行われる旨、警告しなければ
   ならない。
 2.管用合金を軍事目的、商業目的に開発する米英両政府間の完全な協力作業は、
   日本敗北後も、両政府の合意によって協力が停止されない限り、継続されるべきで
   ある。
 3.ボーア教授の活動については調査する必要がある。
   教授には、特にロシア人に対してだが、情報を漏らさない責任があり、
   この保証措置を取らねばならない。
                            9月18日 ルーズベルト チャーチル』

ここで、管用金属とは原子爆弾の暗号名です。
そして、恐るべきことは、日本降伏一年前、ドイツもまだ降伏していない中で
既に”原爆は日本人に使用”と書かれていることです。

大きなポイントとして原爆投下は、ドイツはなぜか対象から外されたかです。

以下の本にその理由が書かれています。
『原爆は日本人には使っていいな 岡井敏著 早稲田出版』

内容的に過激で、本ブログでの公開を躊躇しましたが、
やはり日本人としては知っておくべき内容なのでお伝えします。

『大統領令9066は、一見、別に人種を指定するものではない。
 しかし普通の市民でありながら、強制収容所に送られたのは、
 日系米人だけだった。
 彼等はれっきとしたアメリカ市民だったのに、日系というだけで
 自由をすべて奪われたのである。

 では同じ敵国のドイツ出身のアメリカ人はどうだったかというと、
 彼等は普通のアメリカ人として、普通に扱われた。
 同じアメリカ人でありながら日系はドイツ系とは別の扱いだ。

 別の扱いここで日系米人とドイツ系米人とで何が違うかと言えば、
 その違いは人種以外にない。

 この時アメリカ本土では、大統領令9066によって確実に人種差別政策が
 行われたのである。
 そして隣のカナダにもかなりの数の日系人がいたが、彼等も同様に隔離された。
 ドイツ系カナダ人は、もちろん普通のカナダ人として扱われる。

 カナダは英連邦に属したから、これはイギリスの政策であった。
 アメリカとイギリスで、共通意志の政治決定による共通の政策が行われたのだ。

 米英首脳が日系人とドイツ系人とを、こうも区別して扱ったこととは、
 彼等がその出身国の日本とドイツとを区別して扱ったことに他ならない。
 それなら、原爆使用に日本とドイツの差別が出るのにも、何ら不思議はなかった。
 むしろ米英首脳が国内政治で示した政治的決定と、原爆の使用に関して取った
 政治的決定とに不整合が現れたら、それこそ不思議だ。
 アメリカのこの明白な人種差別は、この頃はやった言葉、イエローモンキーに
 如実に現れている。

 こうして原爆使用は、人種差別によって決定されたのだ。これが原爆使用に
 際して目をつぶることのできない決定的な点である。

 原爆がひどい残虐な兵器だということは、ハイドパーク覚書の頃にも
 関係者には十分、分かっていた。
 つまり、そんな残虐な兵器は普通の人間にはとても使えない。
 米英首脳は明らかにこう思識して.いたからこそ、ドイツ人に使う気になれず、
 覚書で、「日本人に対して使用」としたのである。

 これは犯罪である。
 それまでに認められた国際法に照らしての犯罪なのだ。』

ここに、我々日本人にはどんなことをしても回避できない深い深い悲しみが
隠されています。

著者の岡井氏が本の中で言っているように、この部分については日本政府で
隠そうとしています。
ほとんどの日本人は知りません。広島、長崎の方も知らないでしょう。

もっともっと日本国内で議論し、核廃絶の根本に迫る必要があると思います。

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