”人間らしく生きる”ために、先ず自身に必要なことは、自身の”心””体””頭”を
鍛えることと”人”を知ることだと思っています。
”人”を知ることは、本当に素晴らしいことだと思います。
今回はシリーズとして、小生の人生観に大きく影響した五人の小説家を紹介致します。
『まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
・・・ 』
この島崎藤村の詩 “初恋” を読む時、詩全体から日本人の感性の素晴らしさを感じ、
一字一句から初恋の甘酸っぱい切なさを感じ、響きから遠く木曽路の風景を感じる。
『まだあげ初めし前髪の” “やさしく白き手をのべて” “おのづからなる細道は』
そして『林檎』という言葉に、小生はいつも胸が熱くなります。
『島崎藤村(1872年3月25日(明治5年2月17日)- 1943年(昭和18年)8月22日)は、
日本の詩人、小説家。信州木曾の中山道馬籠村生まれ。
文学界に参加し、ロマン主義詩人として“若菜集”などを出版。
さらに小説に転じ、“破戒”“春”などで代表的な自然主義作家となった。
作品は他に、日本自然主義文学の到達点とされる“家”、
父をモデルとした歴史小説の大作“夜明け前”などがある。』
藤村の小説の中に、姪との禁じられた恋に対しその想いを振り切るために、
新たな出発という思いを意味する「新生」という小説があります。
実は小生大学4年になった時、兄から無言でこの「新生」の単行本を貰いました。
正直、大学や実生活に挫折感を感じていた時であり失敗や失態も多く、
今考えれば兄からは「新生」を読んで新たな出発をしろと言う意味だった
のかもしれません。
それからというもの小生は、水を得た魚の様に藤村の小説を読み漁りました。
小説“破戒”を読んだ時の心の衝撃は凄かったです。
大学院で破壊力学を専攻した小生は何か運命の偶然を感じました。
その後、藤村紹介の文芸本も多く読み、修士論文は”島崎藤村と私”
という題にしたかったほどです。
工学系の大学、大学院に所属し、どちらかと言うと無機質な方向に進む中、
自然主義文学の藤村との出会は、小生の一生のテーマ”人間らしく生きる”の
出発点だったのです。
数年前に木曽路に行き、藤村に自分の進んでいる道が正しいかを問うてきました。
藤村からの答えは
『木曽路はすべて山の中である。あるところは岨(ソバ)づたいに行く崖の道であり、
あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、あるところは山の尾を
めぐる谷の入り口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。』
でした。
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