おせっかいブログです。
「ChatGPT」という言葉をニュースなどで耳にする機会も増えたのではないでしょうか 。これは「生成AI」と呼ばれる新しい技術で、まるで人間のように文章を作ったり、情報を要約したり、アイデアを出したりすることができます 。
この生成AI、実は市役所の業務を大きく効率化し、市民サービスの質を高める大きな可能性を秘めています 。しかし、「どうやって始めたらいいの?」「なんだか難しそう…」「個人情報とか、セキュリティは大丈夫?」といった不安を感じる方も多いと思います。
ご安心ください。本記事では、市役所に生成AIを安全かつ効果的に導入するための「失敗しない3つのステップ」を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
ステップ0:まず知っておきたい「AIの落とし穴」と「交通ルール」
本格的な導入の話に入る前に、最も重要なことをお伝えします。それは「情報漏洩リスク」です。
私たちが普段、インターネットで手軽に使える無料版の生成AIは、入力した情報をAIが「学習」してしまう可能性があります 。これは、市役所の重要な内部情報や、市民の方の大切な個人情報が、意図せず外部に流出してしまうリスクがあることを意味します 。これは絶対に避けなければなりません 。
そこで、安全にAIを使うために、まず「利用ルール(庁内ポリシー)」を定めることが不可欠です 。これは、いわばAIという新しいツールを安全に使うための「交通ルール」のようなものです 。
具体的には、以下のようなルールを明確に定め、全職員で共有することが重要です。
入力してはいけない情報リスト :
市民の氏名、住所、個人番号などの個人情報
未公開の予算案や人事情報といった内部情報
生成された情報の取り扱いルール :
AIの回答は「それらしい嘘」を含む可能性があるため、必ず職員が事実確認を行うこと 。
AIが作成した文章は、必ず人間の目で最終チェックしてから公開・提供すること 。
もしもの時の報告フロー :
万が一、禁止情報を入力してしまった場合に、速やかに担当部署へ報告する手順を定めておくこと 。
これらのルールを最初にしっかりと定めることで、AI利用の第一歩を安全に踏み出すことができます。
成功への道筋!失敗しないAI導入の「3ステップ戦略」
ルールを定めたら、いよいよ導入です。しかし、いきなり全庁で導入するのは得策ではありません。「小さく試して、効果を証明し、安全に広げる」という段階的な進め方が、行政におけるDXの王道です 。
ステップ1:【小さく試す】 パイロット導入で効果を測定
まずは、部署を限定して試験的に導入(パイロット導入)することから始めましょう 。
部署の選定: 最初は、機密情報の取り扱いが比較的少ない部署が適しています 。例えば、イベントのチラシや観光案内の原稿作成など、公開が前提の文章を扱う「広報課」や「観光交流課」などが良いでしょう 。
目標設定(KPI): 「何となく便利になった」では、他の職員や上層部を説得できません。「作業時間がどれだけ減ったか(時間短縮率)」「文章の修正回数がどれだけ減ったか」といった具体的な指標(KPI)を設定し、数字で効果を測ることが重要です 。
ステップ2:【数字で説得】 効果の「見える化」と次の提案
パイロット導入を終えたら、その成果をレポートにまとめます 。
ある市役所の事例では、チラシ原稿の作成時間が3時間から1時間40分へと43%も短縮され、職員の残業時間が月に7時間も減少したという結果が出ました 。
このような具体的な数字は、AI導入の効果を客観的に示し、上層部や財政部門の理解を得るための強力な材料となります 。
同時に、試験運用で見えてきた課題も正直に報告しましょう。例えば、「無料版だと、誤った情報を入力しないか常に気を張る必要があり、チェック作業に時間がかかる」といった現場の負担も重要な情報です 。
この「効果」と「課題」の両方を明確にすることが、次のステップへ進むための鍵となります。
ステップ3:【安全に拡大】 法人版プランで本格展開へ
パイロット導入で効果が実証できたら、いよいよ本格導入です。ここで重要になるのが、「法人向けプラン」の活用です 。
法人向けプランとは?: 企業や自治体向けに特別に設計された有料サービスです 。最大の特徴は、入力したデータがAIの学習に一切利用されないという点です 。これにより、情報漏洩のリスクを根本から断ち切ることができます 。まさに、市の重要情報を守るための「鍵付きの金庫」のようなものです 。
費用対効果で予算を確保: もちろん費用はかかりますが、その効果を数字で示せば、予算確保は決して難しくありません。ある試算では、年間150万円の利用料に対し、職員の人件費削減効果が年間360万円に上り、投資対効果(ROI)は2倍以上になるという結果も出ています 。
この法人向けプランと、最初に定めた「利用ルール」を両輪で運用することで、市役所は初めて、全庁で安全かつ安心して生成AIの恩恵を享受できるようになるのです。
まとめ:AIは行政の「頼れる味方」になる
生成AIの導入は、単なる業務効率化に留まりません。それは、職員一人ひとりがより創造的で付加価値の高い仕事に集中できる環境を作り、ひいては市民サービスの向上へと繋がる大きなチャンスです 。
今回ご紹介した「3ステップ戦略」は、ゴールではありません。むしろ、AIを活用して地域の課題を解決していく旅の始まりです 。
大切なのは、AIを「よくわからない怖いもの」ではなく、業務を助けてくれる「行政の味方」として捉えること 。まずは小さな一歩から、その可能性を試してみてはいかがでしょうか。職員向けの勉強会やワークショップを開いて、皆でAIに触れる機会を作るのも素晴らしい取り組みです 。
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小生は市役所の関係者ではありませんが、、、生成AIの導入を行政の視点から分かりやすく整理し、実践的なステップで説明している点が素晴らしいと思います。
特に「交通ルール」は、技術を導入する際のガイドライン作りの重要性を表しており重要だと思います。 また、AIを「行政の味方」として位置付ける視点も興味深く、AIとの共存が単なる合理化ではなく、市民の生活を豊かにすることに繋げることが大切だと感じました。