1.はじめに

小生はつい最近まで、名のある哲学者、宗教家、歴史的人物、著名人から
「人」を知ろうとしていました。

それは自分が生きていく上でとても良い指標になると思ったからです。

ところが、今さらながら気が付いたことがあります。

小生は山梨の地方街に住んでいますが、廻りに目をやると手を合わせたくなるような、
おじいさん、おばあさん、おじさん、おばさんがいっぱいいらっしゃるんですね。

体から出ている力、「人生を生きてきた!」という力をものすごく感じます。

仏教とか、信仰とか、宗教とか、全く知らない人でも、人間的に「この人、すごいな」と
思わざるを得ません。

「近所の哲学者」と呼びたいです。

自分の生き方が薄っぺらいと反省してしまいます。

それでは今回2人の「近所の哲学者」のおばちゃんを紹介します。

2.人の価値は行動にある 御近所のおばちゃんさんが教えてくれた

人の価値は行動にある。

小生、つくづく考えさせられる出来事がありました。

話を分かりやすくするために昔話風に紹介します。

折乃笠が住む部落に、それはそれは働きもののおばちゃんがおってのう~。

廻りから、よしこ姉(ねえ)(偽名)と呼ばれておるんじゃ。

よしこ姉はいくつかのう?75歳くらいかのう~。
背はちっこく、痩せているんじゃが、力持ち、どこにでも歩いていく。

周りの人のためにいろいろ尽くしてばかりで、家族のために家事をし、
自分の家の畑をやったり、パートで居酒屋へ行ったり、ほとんど一日中働きどうしじゃ。

そして、いつもニコニコしている。

ちょっと昔に地元の小学校の用務員さんをやっていて、先生や生徒にものすごく
慕われていたそうじゃ。

折乃笠一家が部落に引っ越して来た時から、いろいろ面倒をみてくれています。

あんがと。

季節の野菜をいつも届けてくれる。

どうも、おらのことが好きらしく、公民館で宴会があると、何度も御酌に来てくれて、
座り込んでいっしょに飲むことが多いのじゃ。

この前、日本酒を家に持って行ったら、超喜んでいたずら。

パート先の居酒屋は、焼き鳥となんこつが絶品で、実はおらの会社の同僚も遠征して
2回も飲みに行ったよ。
パート先でも、ほとんど休まず動きっぱなし、働き過ぎ。
そん時は、まあ座れし~一杯飲めし~と誘っても座んない。
居酒屋の女将も良く働くおばさんじゃと言っている。

よしこ姉、おらのエッセイ集第一弾が出版されると、どこからか聞きつけて買って読んでくれ、
自費で居酒屋のマスターにも紹介してくれた。

合わせて、マスターは地域活動(市長や野口健さんと知り合い)をしていて、
おらに興味を持っているから紹介すると居酒屋にいっしょに行ってくれた。

おらは、すっかりマスターと意気投合、よしこ姉はうれしそうに話を聞いていたのさ。

さて、今回つくづく考えさせられる出来事を紹介するね。

今回、エッセイ第二弾の出版日は10月15日に決まったが、著者の特権で数冊前
もって貰えたのじゃ。
おら、真っ先によしこ姉の家に持って行っただ。

よしこ姉、超喜んでくれて、お金を払おうとしたで、いいんだよ とおら逃げるように帰ってきた。

数日後、よしこ姉がおらの家にやってきて、居酒屋の焼き鳥となんこつ焼をいっぺい
持ってきてくれた。

更に、「ちょいと、いっしょに出かけべ!」

「どこさ?」

「市長の家へ行くべ。」

「はあ?」

「第二弾、拾い読みしたんだが、ちょっと読んでもおもしれえ。これは市長にも読んで
もらった方が良いべ。いくべ?」

「ところで、よしこ姉、市長と知り合いなのけ?」

「娘が確か同級生でな。向こうも覚えているべ。行くぞ。」

残念ながら、市長は大雨対策で日曜も出勤で不在だったのじゃ。

おらあ。よしこ姉に手を合わせました。

思いやり、度胸、行動力、まさしく心に染みる「利他の行動」だ。

おらは、普段、能書きばっかり垂れているが、人のためにこのような「利他の行動」が
できるだろうか?

人は頭で違うんじゃないかなと思いながらも、相手の社会的地位や収入や学歴などで
その人の価値を決めてしまう。

そうじゃないんだよ。人の価値は行動にあるんだ。

今回、御近所のおばちゃんが、行動で教えてくれました。

なんだか、ほのぼのとする良い話だっちゅ~の。

3.こぴっとし~ みょうがを食べると思い出す 隣のおばちゃん

皆さん、みょうがは好きですか?
味覚と食感が一種独特ですね。

実は我家の庭の第四花壇はみょうがエリアなんですよ。

今、収穫の真っ最中です。みょうがは数本根を植えるとあっという間に1m四方以上に
拡がって年数回に分けて収穫ができるんです。

採りたては超新鮮、最高の御馳走です。

熱々の御飯にかつお節と醤油で食べる、卵とじといっしょに味噌汁で食べる、
わかめといっしょに酢の物にして食べる等々夏の風物ですね。

3年前、隣のおばちゃんが私の家の第四花壇を見て、
「ここを綺麗に掃除して、あたしんちのみょうがを植えろし!」←山梨弁。

実はその頃第四花壇は、切った木や草その他でまるでゴミ捨場。

おばちゃんが引き取って全て焚火で燃やしてくれたんです。

「よし、みょうがやるから掘りにこーしー!これを植えると来年の夏から自分ちで
採って食える。今までは、あたしんちのできたみょうがをあげていたけんど、
もしあたしがいなくなっても、今度は自分ちで採れるから安心だな。」

話は変わりますが、みょうがの効果を調べてみると

『みょうがに含まれる”α-ピネン”という物質は、血流をよくする効果があります。
この成分が体に入ると血流が良くなります。』

実は、隣のおばちゃん、小生の家のみょうが採れる前に亡くなってしまったんです。

病院から無言で帰ってきた時は、ほんと悲しかった。

心臓病だったんです。

せめて、小生の家のみょうがを食べさせて、血流を良くしてあげたかった。

みょうがを食べるといつも思い出します。

今でも、家の窓を開けて、元気の良いおばちゃんが
「みょうがのおしんこ、とりにこ~し~! ※こぴっとし~」 ← 山梨弁。
と叫んでいるようです。

(※こぴっとし~ ← 山梨弁。しっかりするんだぞ、しっかり生きるんだぞ。)

4.まとめ

実はこの2つのお話は小生のエッセイ第三弾「人として何が大切か、真の幸せとは何か」
の中で「哲学」=「人」の項に載せる原稿です。

以前もブログで紹介したことがあります。

現在、エッセイ第三弾の全原稿を最終チェックをしているところですが、この2つのお話が
特に小生自身にグッときてしまい、是非皆さんにも読んでいただきたくて紹介するものです。

「近所の哲学者」2人のおばちゃん。

やっぱ、「人」って良いですね。

 

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