とても懐かしい言葉に出会いました。
『路地裏』 です。

小生、葛飾の下町で生まれ育ったので、『路地裏』は生活空間だったのです。

小生の家は、小さな木造一階の平屋でプレス金型を作る工場(こうば)と
家族が暮らす部屋と住込みの職人さんが暮らす部屋がありました。

その家は路地の入口にあって、細い路地裏の道がずっと奥まで続いています。
その路の両側には、いろいろな家があって、どの家も家族みたいな付き合いを
していました。

貰いものがあるとおすそ分け、外でめざしを焼いたらおすそ分け、
スイカを切ったらおすそ分け・・・・。

夫婦喧嘩や兄弟喧嘩の声、お母さんの怒られて泣いてる子供の声、
テレビを観て大笑いしている家族団欒の声、全ての声が聞こえてきます。

お爺さんたちは縁側で将棋、お母さんたちは何時間も井戸端会議で忙しい、
我ら子供たちは泥だらけで夕方まで遊んでいます。

そうそう、必ずどこかの家で宴会があって、茶碗やお皿を箸で叩きながら、
お父さんたちが歌を歌っていました。
何かあると必ず飲んでベロベロになっていましたね。

『路地裏』は、生活空間そのものだったのです。

今思い出すと、とてもあたたかい気持ちになれます。
その時には気が付かなかった日常の風景に豊かな宝が転がって
いるような気がします。

近頃、都市開発により町から路地裏がすっかり姿を消してしまいました。
それと合わせて、我々も心の余裕を失って大事なものを忘れてしまった
様な気がします。

今、路地裏に入った気持ちで心に隙間を設け、自分を見つめてみたいと
思います。

『路地裏』 とても懐かしい。

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