昨日、大月市立短大で、第三回市民公開講座「笹子追分人形芝居」
が実施されました。
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先ず、高校教師だった民俗学研究家の講演があり、お金よりももっと
価値のあることの一つが伝統を継承していくことを山梨弁で力説し、
たいへん感動致しました。
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次に、人形芝居保存会の会長さんが、物静かに熱く人形芝居の
苦労話をお話され、更に感動致しました。
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最後に、人形芝居の実演があり、初めて生で観て顔の表情や
繊細な体の動きに涙が出る程感動致しました。
それでは、その笹子追分人形芝居についてお爺さんが説明致します。
むかしむかし、甲州街道の笹子の里にはのぅ、不思議と旅人を惹きつける芸があったんじゃ。それが「笹子追分人形芝居」と呼ばれる、古くから伝わる人形芝居よ。
この芝居が始まったのは、寛永十五年(1638年)と言われておる。江戸の人形遣い・吉田冠二が笹子に腰を落ち着けてのぅ、この地に人形芝居を広めたのが最初じゃった。その後、十八世紀には、笹子峠を越える旅人たちの心を慰める娯楽として、大いに栄えたそうな。なにせのぅ、笹子峠は甲州街道随一の難所。旅人は皆、疲れ果てて宿をとる。そんなとき、心の支えになったのが、この人形芝居だったんじゃよ。
ところが時代が流れ、明治に入ると人形芝居は次第に衰退していった。しかしのぅ、この笹子の芝居だけは消えなんだ。それもこれも、初代西川伊久造こと天野忠助の尽力あってのことよ。彼は関東の名人・西川伊三郎に師事し、芝居を守るために命を懸けたのじゃ。その志を継いだ者たちが、今もなお、夜な夜な稽古に励み、この伝統を受け継いでおるんじゃよ。
さて、この笹子追分人形芝居の特徴といえばのぅ、三人がかりで一体の人形を操る技じゃ。「主遣い」が頭と右手、「足遣い」が足、「左遣い」が左手を動かすことで、人形にまるで魂が宿ったかのような、生き生きとした動きを生み出すのじゃ。さらに義太夫節の語りが加わり、物語の情緒がいっそう深まる。見る者は、芝居の世界にすっかり引き込まれてしまうのじゃ。
だが、この芝居がここまで続いてきたのは、ただの偶然ではないのじゃ。明治三十五年の水害では衣装を収めた蔵が流され、火災では大事な家が焼けた。それでも人形と位牌だけは、命懸けで守ったんじゃよ。そして、時には人形が足りず、人間が人形の動きを真似る「人形振り」という稽古法まで編み出して、芝居を絶やさぬよう工夫を凝らした。こうして、幾多の困難を乗り越え、今も笹子の人々によって大切に守られとるんじゃ。
公演は定期的に開かれておる。大月市文化祭や、笹子町のふれあい交流会などで、その見事な技を披露しとる。さらには県民の日の公演や、新春にはリニア館でも芝居が見られるとな。遠方からでも、ぜひ一度足を運んで、その妙技を目に焼き付けるとよいじゃろう。
今や、笹子追分人形芝居は、ただの娯楽ではなく、この地に息づく歴史そのものじゃ。三人の遣い手が織りなす緻密な動き、義太夫節の響き、そして芝居に込められた先人たちの魂。そのすべてが、この甲州街道の風と共に語り継がれておるのじゃ。
さあ、おぬしも一度、この芝居の世界に足を踏み入れてみてはいかがじゃろうか。きっと、心の奥深くに何か温かなものが宿ることじゃろうて──。
さて、それでは笹子追分人形芝居の実演を観てください。
講座後、感動しまくった小生は、人形芝居保存会の会長さんに「専用のホームページを
作らせてほしい」と無意識の内にお話ししていました。
会長さんはたいへん喜んでくださいました。
小生の頭の中には
「お金よりももっと価値のあることの一つが伝統を継承していくこと」
が頭の中で響いていたのでした。
(また自分で自分を忙しくしてしまいました。)
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自分で自分を忙しくしてしまうのは、折之笠さんらしいですね! なんかその時の場面が目に浮かびます。(笑)
でも、やりがいのあるホームページ作りになると思いますよ。楽しんで頑張ってください。